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組み込み開発におけるタッチパネル設計の重要性
スマートフォンやタブレットの普及により、産業機器や公共端末の組み込み開発においても、直感的なタッチパネル操作が当たり前に求められるようになりました。しかし、コンシューマー製品と同じ感覚で設計すると、過酷な使用環境や特定のユーザー層に対応できず、操作性の低下や故障を招く原因となります。本記事では、プロの視点から、組み込み開発で失敗しないためのUI/UXデザインやハードウェア選定の「勘所」を徹底解説します。
勘所① 画面構造の黄金律:レイヤーは「3層」に留める
タッチパネルのUI設計において、最も陥りやすい罠が階層の深掘りです。多機能なシステムほどメニューを細分化したくなりますが、組み込み開発においては画面レイヤーは最大3層までに抑えるのが鉄則です。
4層以上の深い階層になると、ユーザーは「自分が今どこで、何の設定を変えようとしているのか」を見失います。特に現場での作業用端末や公共施設のリサーチ端末では、迷いはストレスに直結します。3層以内に収めることで、常にトップ画面への回帰を容易にし、操作の連続性を保つことができます。
勘所② ユーザービリティを支える操作デザインの最適化
組み込み機器は、特定の目的を持って操作されるため、人間工学的アプローチが不可欠です。
右手操作を意識したボタン配置
日本人の人口の約9割が右利きと言われています。このため、頻繁に使う操作ボタンや決定ボタンは、画面の右側、あるいは中央下部に配置するのが基本です。左側に主要操作を固めてしまうと、自分の手で画面の情報を遮ってしまう「ブロッキング」が発生し、視認性が低下します。
ボタンサイズとユニバーサルデザイン
操作ミスを防ぐため、ボタンサイズは最小でも指先の大きさ(約10mm四方)を確保しましょう。手袋を着用して操作する現場であれば、さらに大きなサイズ設計が求められます。また、言語の壁に左右されないよう、ピクトグラム(図記号)を活用したユニバーサルデザインを意識してください。一目で「停止」「設定」「戻る」が理解できるアイコンは、誤操作のリスクを劇的に軽減します。
勘所③ 設置環境に応じたハードウェア選定
組み込み機器は、オフィスから直射日光下の屋外まで、設置場所が多岐にわたります。
屋外利用における輝度設計
屋外設置の場合、一般的な液晶パネルでは太陽光に負けて画面が真っ暗に見えてしまいます。屋外仕様では輝度1,000cd以上を基準に選定しましょう。これにより、真夏の直射日光下でも確実な視認性を確保できます。
堅牢性を高める強化ガラス
不特定多数が利用するパブリック端末や、工具が当たる可能性のある工場現場では、強化ガラスの採用が必須です。傷や衝撃に強いだけでなく、耐薬品性を備えたものを選ぶことで、アルコール消毒が必要な医療現場などにも対応可能になります。
勘所④ 信頼性を担保するシステムレイアウト
ハードウェア構成において、保守性と継続性の観点から「分離設計」を推奨します。
制御部と操作部のセパレート 制御ユニット(CPUボード等)とタッチパネルは、物理的に別々にレイアウトするのが賢明です。万が一、悪意のあるユーザーによってディスプレイが破壊されても、背後の制御部さえ生きていればシステム全体がダウンすることはありません。パネル交換だけで迅速に復旧できる設計は、組み込み開発におけるBCP(事業継続計画)の要です。
勘所⑤ 情報整理:状態表示と操作表示の分離
UIデザインの肝となるのが情報の整理です。これらを混同すると、画面が煩雑になり混乱を招きます。
状態表示(モニタリング)
現在の状況を俯瞰するための画面。例えば、複数のワークがライン上を流れている様子を表示します。
操作表示(セッティング)
特定の対象に対してアクションを起こす画面。状態表示で一つのワークを選択した際、その詳細設定やパラメータ入力ができるように切り替えます。
このように「見るための画面」と「操るための画面」を明確に分けることで、ユーザーの脳負荷を下げ、スムーズなワークフローを実現できます。
タッチパネルを用いた組み込み開発の事例をご紹介
建設機械用タッチパネル機器

当事例では、建設機器の安全監視を目的として使用するタッチパネル機器を開発した事例です。
お客様よりご相談いただいた際の要件は下記の通りでした。
・厳しい環境条件(温度・振動・ノイズ等)に耐えられる
・8インチのLCD+タッチパネルを有し、Windows/Linuxが動作する
・指定のサイズを満たす小型タッチパネル
具体的な仕様やこれらの要件を基に、当社にて検討を重ねました。要望を実現するために・・・
入退管理用端末

特定エリア内の入退場を監視する機器を開発した事例です。
お客様よりご相談いただいた要望は下記の通りでした。
・QRコード及びICカードを用いて、入退場可/不可の判定を行う
・個人単位で入退場履歴を記録・管理する
・メインサーバーに4G回線を通じて接続する
・加えて、カメラでも入退場者を監視する
・LCD+タッチパネルを有し、カメラ映像の表示など各種設定を行う
・可能な限り、開発コストを抑制する
これらの要件を基に、当社にて開発を進めました。特にコスト削減のご要望を考慮し、殆どの構成機器(カメラ、USBハブ、QRコードリーダ、ICカードリーダ、LCD+タッチパネル、CPUボード)は市販品を活用しました。ただし・・・
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