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組み込み機器開発におけるマイコンとFPGAの違い

エアコンの温度調節から自動車のエンジン制御まで、私たちの身の回りにある電子機器が賢く動作するのは、内部に組み込まれた「小さな頭脳」のおかげです。その代表格がマイコンとFPGAです。これらは似ているようで、実は得意なことや仕組みが全く異なります。今回は、現代社会を支える2つのデバイスの基本から、組み込み機器開発における役割の違いまで、分かりやすく解説します。
マイコンの構造と動作について
マイコン(マイクロコントローラ)とは、「特定の目的や機能を実現するために設計された、自己完結型の小型コンピュータ」です。一つのチップの中に、演算を行うCPU、データを記憶するメモリ、外部機器と信号をやり取りする入出力ポートなど、コンピュータとして動作するための基本機能が内蔵されています。
このため、マイコンは単体で動作でき、家電製品、自動車、産業機器など、身の回りのさまざまな電子機器の制御に広く利用されています。
マイコンの構造
一つのチップに、システムとして動作するための機能がすべて詰め込まれています。
構造①:CPUコア
人間でいう「脳」にあたる中核部分。メモリからプログラムを読み出し、その命令に従って計算や判断を行い、各機能をコントロールします。
構造②メモリ (ROM/RAM)
プログラムやデータを記憶するための「記憶領域」です。
構造③:周辺機能
センサーやモーターなど、外部の部品とやり取りをするための「手足」となる回路です。
マイコンの動作
マイコンは、基本的に書き込まれたプログラム(ソフトウェア)の命令を、CPUが一つずつ順番に実行していく「逐次処理」というスタイルで動作します。この仕組みにより、複雑な計算や不規則な処理も比較的容易に実装できます。
FPGAの構造と動作
FPGA(Field Programmable Gate Array)は、購入後に設計者が内部の電子回路(ハードウェア)そのものを自由に構成・書き換えることができるデバイスです。
回路の動作は、VHDLやVerilog HDLといったハードウェア記述言語を用いて設計され、論理回路としてチップ内部に実装されます。
FPGAの構造
内部には「論理ブロック」という小さな回路の集合体と、それらを繋ぐ「配線」が網の目のように配置されています。この接続情報をプログラムで書き換えることで、目的に特化した専用の電子回路(ハードウェア)そのものをチップ内部に作り上げます。
FPGAの動作
FPGAは基本的に専用回路が同時に動く「並列処理」というスタイルで動作します。そのため、マイコンよりも高速で遅延が少ないリアルタイム処理が可能です。
組み込み機機器開発でのマイコンとFPGAの違い
マイコンは、C言語などで書かれたソフトウェアの命令をCPUが一つずつ順番に実行する「逐次処理」を行います。この方式は、エアコンの温度制御のように、状況に応じて複雑な判断をしたり、後から機能を追加・変更したりするのに適しており、汎用性と柔軟性の高さが大きな特長です。
一方、FPGAは、内部の回路そのものを目的に合わせて作り変えることで、複数の処理を完全に同時に行う「並列処理」を実現します。これにより、高解像度の映像処理や大容量通信など、高速性とリアルタイム性が求められる専門的な処理でその性能を最大限に発揮します。
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