エンジニア コラム

電子機器のODMとは?OEMとの違いを徹底解説!

電子機器の開発・製造を外部に委託するビジネスモデルとして「ODM」が広く利用されています。近年は、設計リソースの不足、開発スピードの加速、初期投資の抑制を目的に、電子機器のODMを選ぶ企業が増加しています。
当記事では、ODM とは何か、OEMとの違い、電子機器開発でODMを活用するメリット・デメリットを整理し、さらに産業用途に特化したODM開発の流れと、当サイト「産業用 組込み機器・システム受託開発Navi」の強みについても解説します。

電子機器のODMとは

ODM(Original Design Manufacturer)とは、製品の設計から製造・量産までを受託する方式です。委託側は製品仕様や要求を提示するだけで、ODM企業が回路設計・基板設計・筐体設計・試作・部材調達・量産・出荷までを一括して実施します。

特に組込み機器・システムのように、電子回路、制御、通信技術など専門性が高い分野では、ODMを利用することで短期間で開発できるメリットがあります。

ODMとOEMの違いとは?

次に、ODMと混同されがちな電子機器の外部委託モデルである「OEM」についても解説します。

◇ODM(Original Design Manufacturer)

ODMは、製品の仕様や要求をもとに、設計から試作、部品調達、量産、品質管理までを一括して受託する方式です。委託元は企画・仕様提示を行い、受託側が開発と製造を総合的に担当します。

■委託元:製品企画・仕様提示・ブランド管理・販売

■受託側:設計、試作、部品調達、量産準備、量産、品質管理までを含む一貫対応

メリット
・自社に設計・製造部門がなくても製品開発が可能となる。
・設備投資の必要がなく、コスト・品質の両面で効率化が期待できる。
・製品化までのスピードが速い。

注意点
・設計権や知財、仕様変更の取り扱いを契約で明確にしておく必要がある。
・設計の自由度が受託側の技術や標準仕様に影響される場合があり、企画段階での仕様調整が重要となる。

◇OEM(Original Equipment Manufacturer)

OEMは、自社で設計した製品を外部の製造企業に製造委託する方式です。委託元は図面や仕様書、BOM(部品表)を作成し、受託側はその内容に基づいて部材手配から実装・組立・検査までの量産工程を担当します。

■委託元:製品企画・仕様設計・販売

■受託側:製造(部材手配〜量産)

メリット
・製造設備を持たずに量産体制を構築できるため、設備投資の負担を軽くできる。
・製造を外部活用することで、生産効率の向上や需要変動への柔軟な対応が可能。

注意点
・製造工程を委託先に依存するため、製造ノウハウが自社に蓄積されにくい。
・設計変更や仕様調整の管理は自社が担う必要があり、適切な管理体制やパートナーとの連携が欠かせない。

ODMによる電子機器開発の流れ

一般的な電子機器ODMの開発プロセスは以下の通りです。

① 構想設計
用途、必要性能、使用環境、認証要件などを丁寧にヒアリングし、実現可能性を検討します。どの方式・構成が最適かを整理し、製品コンセプトを固める工程です。

② 原理試作
構想内容をもとに、回路・制御・通信など主要機能の原理を確認するための試作品を製作します。必要な動作が問題なく実現できるか、基本機能の検証を行います。

③ 詳細設計
構想段階で固めた仕様をもとに、量産を見据えた回路設計・基板設計・機構設計・ソフトウェア設計を行う工程です。
回路・基板設計では部品選定やレイアウト、EMC対策などを行い、機構設計では筐体構造・放熱・強度・耐環境性を考慮し、3D試作設計にも対応。ソフトウェア設計では、ハードウェアの知見を活かし、ルネサス・Microchip・ARM など多様なマイコンや各種組込みOSに対応し、制御・通信などのファームウェアを最適に設計します。

④ 量産試作
詳細設計をもとに量産に近い試作機を製作し、信頼性・耐環境性・安全性などを評価します。同時に部品調達計画、製造治具・検査機器の準備など、量産への移行を整えます。

⑤ 量産
産業用電子機器に求められる品質基準に基づき、基板実装・組立・検査までを一貫して実施します。少量多品種から量産まで柔軟に対応し、出荷後も追加生産や改良など継続的なサポートを提供します。

当社のODM開発実績

事例①:LED表示パネル

従来製品で課題となっていた「ドット抜け」「輝度不足」「防水性の不安定さ」に対し、当社は現行品の解析から回路・部品・筐体構造の見直しまで一貫して対応した事例です。原理試作と評価を重ねることで屋外でも安定して使用できる視認性と耐環境性を確保し、表示品質の大幅改善とコスト削減を同時に達成しました。
ODMによる包括的な対応が、製品力向上と製造効率化につながりました。

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事例②:建設機械用タッチパネル機器

建設現場の過酷な環境(温度変動、振動、電気ノイズなど)に耐えられる、8インチ液晶+タッチパネルを搭載した小型端末のご要望を受け、CPUボードの選定から回路設計・基板設計・機構設計・組付けまで一貫して対応しました。
結果として、お客様の厳しい使用条件を満たしつつ、指定サイズのコンパクト設計を実現し、継続的に数百台単位の安定供給を達成しました。
ODM/一貫受託による柔軟な設計・製造対応が、要求仕様の厳しい産業用途機器でも確実な製品化につながった事例です。

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産業用組み込み機器・システムの開発・設計ならお任せください!

当社では、産業用組み込み機器・システムの構想設計〜回路・基板設計〜機構設計〜組み込みソフトウェア設計〜評価〜製造・検査まで全て対応します。40年以上培ってきた豊富な経験と技術力で、お客様の製品開発を強力にサポートします。組み込み機器・システムの開発・設計なら、ぜひ当社にお任せください。基板・ボードのリバースエンジニアリングとは?

基板・ボードのリバースエンジニアリングとは、現物の基板から回路構造や仕様を読み取り、その設計情報や機能を再構築する技術・プロセスを指します。この技術は、設計データ等がない既存品の再現・改良を目的として活用されています。当作業には、高度な専門性と技術が求められます。

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