エンジニア コラム

タンタルコンデンサが使われなくなった理由とは?電子回路設計でよく使われるコンデンサの種類と特徴

電子回路設計において、ノイズ除去や電源の平滑化に欠かせないのがコンデンサです。
現代の機器設計においては、求める性能や用途、コストに応じてさまざまな種類のコンデンサが使い分けられています。

本記事では、設計現場で「よく使用される主要なコンデンサ」の特徴と向いている用途について分かりやすく解説します。また、かつて小型・大容量で重宝された「タンタルコンデンサ」が、現在ではなぜほとんど使われなくなっているのか、その理由と注意点についても併せてご紹介します。

タンタルコンデンサとは?

タンタルコンデンサは、電解コンデンサの一種です。タンタル(Ta)という金属の粉末を焼結して固めたものを陽極とし、その表面に誘電体となる五酸化タンタルを形成、さらに陰極として二酸化マンガンや導電性高分子を用いた構造をしています。極性がある部品であり、基板へ実装する際は向きに注意する必要があります。

タンタルコンデンサが現在ほとんど使われていない理由

優れた特性を持つタンタルコンデンサですが、現在では以下の重大なリスクと代替品の進化により、新規設計で採用されることはほとんどなくなりました。

➀ショート故障による発火リスク

タンタルコンデンサの最大の弱点は、逆電圧や過電圧に非常に弱く、故障モードが「ショート(短絡)」であることです。ショートして大電流が流れると、発熱から発火・焼損に至る重大な事故につながる危険性があります。そのため、特に電源回路への使用は極めて高いリスクを伴います。

>>>タンタルコンデンサの使用における注意点の詳細はこちら

② コスト面(レアメタルの使用)

材料となるタンタルが希少金属(レアメタル)であるため、価格変動が大きく、他のコンデンサと比較して部品単価が高くなる傾向があります。

③ 代替コンデンサの劇的な進化

近年、安全性が高く安価な「積層セラミックコンデンサ(MLCC)」の大容量化が著しく進みました。また、長寿命で低ESRな「導電性高分子アルミ電解コンデンサ」も普及したため、あえて発火リスクを負ってまで高価なタンタルコンデンサを選択するメリットが薄れました。

設計現場でよく使用されるコンデンサの特徴と用途

現在、電子回路設計の主流として活躍している代表的な4つのコンデンサを紹介します。

1.アルミ電解コンデンサ

特徴:
内部に電解液を使用しています。安価でありながら、非常に大きな静電容量を得られるのが最大のメリットです。
一方で、使用時間や温度上昇に伴い電解液が蒸発する「ドライアップ」が避けられず、これが寿命の決定要因となります。また、高周波特性はあまり良くありません。

向いている用途:
低周波のノイズ除去、電源回路の平滑用(大容量が必要な箇所)

2.積層セラミックコンデンサ

特徴:
誘電体にセラミックを用いたものを積層構造にしたコンデンサです。極めて小型でありながら高周波特性に優れ(低ESR)、寿命も半永久的です。近年は大容量化が進み、タンタルコンデンサの領域を置き換えるほど普及しています。
ただし、直流電圧をかけると実効容量が低下する「DCバイアス特性」や、基板のたわみによるひび割れには注意が必要です。

向いている用途:
ICの電源デカップリング、高周波ノイズの除去、スマートフォンやPCなどの小型機器全般

3.導電性高分子アルミ電解コンデンサ

特徴:
アルミ電解コンデンサの電解液を「導電性高分子(固体)」に置き換えたものです。液体を使用していないためドライアップによる寿命の心配がなく、温度特性にも優れています。
また、従来のアルミ電解コンデンサよりもESR(等価直列抵抗)が低く、高いリプル電流に耐えられるのが特長です。

向いている用途:
PCのマザーボード、高周波スイッチング電源の平滑用、過酷な温度環境下の機器

4.フィルムコンデンサ

特徴:
プラスチックフィルムを誘電体としたコンデンサです。温度特性や周波数特性が極めて安定しており、絶縁抵抗が高く高耐圧です。
また、絶縁破壊が起きても自己回復する性質を持つものがあり、高い安全性を誇ります。
ただし、形状が大きくなりがちなのがネックです。

向いている用途:
オーディオ回路、アナログ回路、高電圧を扱うインバータ回路やモーター駆動回路

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