エンジニア コラム

組み込みボードとは?そのメリット・用途について解説!

私たちの身の回りには、スマートフォン、家電、自動車、産業機器など、数多くの電子機器があふれています。これらの機器が特定の機能を実現するために、内部には「頭脳」として機能する電子回路基板が搭載されています。これが「組み込みボード」です。今回は、現代のモノづくりに欠かせない組み込みボードの用途から、開発環境についてご紹介いたします。

組み込みボードとは?

組み込みボードとは、特定の機能やタスクを実行するために設計された、専用の電子回路基板(プリント基板)のことです。一般的なコンピュータ(PC)のマザーボードが、OSを動作させ、様々なソフトウェアを実行するための「汎用性」を目的としているのに対し、組み込みボードは特定の製品(例:炊飯器の温度管理、自動車のエンジン制御)に搭載されることを前提に設計されます。

通常、組み込みボードには以下の要素が搭載されています。

CPU(MPU/MCU): プログラムを実行する中心的な頭脳。

メモリ(RAM/ROM): プログラムやデータを一時的・永続的に記憶する領域。

入出力(I/O)ポート: センサーからの情報を受け取ったり、モーターやLEDを制御したりするための接続口。

その他: クロック(動作タイミングを生成)、電源回路など。

組み込みボードはどのような用途で利用されるのか?

組み込みボードは、文字通りあらゆる電子機器に「組み込まれて」います。その用途は非常に幅広いです。

用途①:家電製品

炊飯器、洗濯機、エアコン、電子レンジ、テレビ、デジタルカメラなど。これら内部で温度や時間を管理し、ボタン操作に応じて動作を制御しています。

用途②:自動車(車載機器)

エンジン制御ユニット(ECU)、エアバッグ、ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)、カーナビゲーション、先進運転支援システム(ADAS)など。安全性と快適性を支える多数のボードが搭載されています。

用途③:産業機器・FA(ファクトリーオートメーション)

工場の製造ラインを動かすロボットアーム、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)、測定器、検査装置など。高精度かつ高速な制御を実現します。

用途④:医療機器

MRI、CTスキャナ、超音波診断装置、心電計、ペースメーカーなど。人命に関わるため、極めて高い信頼性が求められます。

用途⑤:IoT・通信機器

スマートスピーカー、ウェアラブルデバイス、スマートロック、ルーター、スマートメーターなど。センサーデータを収集し、ネットワーク通信を行う役割を担います。

組み込みボードとマイコンボードの違い

「組み込みボード」と「マイコンボード」は、どちらも機械や装置の内部で特定の制御を行うために用いられる電子基板ですが、その構成や性能、用途には明確な違いがあります。

組み込みボード

組み込みボードとは、機器に組み込まれて動作する制御用コンピュータ基板の総称です。製品の種類や用途に応じて、シンプルな制御用から高性能な処理を行うものまで幅広く存在します。その中には、単一のICチップで制御を行う「マイコンボード」や、LinuxなどのOSを搭載できる高性能な「シングルボードコンピュータ(SBC)」などが含まれます。つまり、組み込みボードは上位の概念であり、制御目的に合わせて多様な構成を取ることができます。

マイコンボード

マイコンボードとは「組み込みボード」の一種です。組み込みボードという広い分類の中でも、特にマイクロコントローラ(MCU)を中心的な部品として構成されており、主にリアルタイム制御やシンプルな処理を目的としています。センサーやモーターの制御といったリアルタイム性が求められる処理を得意とし、低消費電力・小型・低コストである点が特徴です。

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