産業用 組み込み機器・システム 受託開発Naviを運営するアルテア(株)では、基板・ボードのリバースエンジニアリングを承っています。当記事では、そんな当社が考える基板・ボードのリバースエンジニアリングをスムーズに進めるためのポイントをご紹介します。

基板・ボードのリバースエンジニアリングとは？

基板・ボードのリバースエンジニアリングとは、現物の基板から回路構造や仕様を読み取り、その設計情報や機能を再構築する技術・プロセスを指します。この技術は、設計データ等がない既存品の再現・改良を目的として活用されています。当作業には、高度な専門性と技術が求められます。

基板・ボードのリバースエンジニアリングをスムーズに進めるためのポイント

基板・ボードのリバースエンジニアリングを効率よく進めるには、委託時に複数の注意点があります。ここでは、特に重要なポイントをご紹介します。

ポイント①：現物基板と仕様書・図面を入手・支給する

リバースエンジニアリングの最も重要な材料が「現物の基板」です。物理的な配線パターンや部品構成を確認するため、実際の基板がなければ解析ができません。また、現物基板に加え、各種仕様書を提供することが重要です。具体的には、以下の仕様書・図面を提供すべきといえます。

CAD図面

過去にCADデータやレイアウト図が残っている場合は、必ず提供することが重要です。基板の層構成、部品の配置、配線パターンといった情報が事前に得られるため、解析時間が大幅に短縮されるほか、現物との照合もしやすくなります。

製作仕様書

基板の材質、銅箔厚、層数、基板厚、仕上げ処理など、製作仕様書に記載されている情報です。製造条件を明確にしておくことで、リバースの結果をそのまま製造工程に反映でき、試作の手戻りも防げます。

機能仕様書

基板が「何のために存在するか」を示すのが機能仕様書です。要求している信号処理や制御の内容が分かれば、回路・ソフトウェアの意図を理解しながら解析でき、誤解や設計ミスを防ぐことにつながります。機能仕様が不明確な場合、設計者側が推測を交える必要があり、作業期間が長引くケースもあります。

ソースコード

マイコンやFPGAが実装されている基板の場合、ソースコードの有無は作業効率に大きな影響を与えます。プログラムを読み解くことで、回路設計だけでは分からない制御ロジックを把握でき、再設計や改良がしやすくなります。もしコードが残っている場合は、必ずセットで提供するのが望ましいです。

ポイント②：該当基板が搭載される装置の動作を見てもらう

仕様書・図面や基板単体の情報だけでは、動作イメージが完全につかめないこともあります。そのため、基板が組み込まれている装置の動作を委託先に見せることが非常に有効です。

現装置でどのように動作しているか見る

現物装置を操作しながら、「どのタイミングで基板がどの機能を担当しているのか」を確認することで、エンジニアが回路の役割を正確に把握できます。例えば、センサ入力の処理、モーター制御、通信タイミングなど、基板単体では判断が難しい情報を共有できます。

装置の動作を見れば、イメージが湧きやすい

装置全体の流れを視覚的に理解できるため、基板やプログラムの役割が明確になります。結果として、設計の意図を読み解きやすくなり、リバースエンジニアリングの精度とスピードが大幅に向上します。動画を撮影して共有したり、実機を貸し出したりすることで、エンジニアの理解が一層深まります。

基板・ボードのリバースエンジニアリング事例

事例①：Z80→ルネサス製RX66Tへのマイコン載せ替え（リバースエンジニアリング）

当事例では、お客様より「長年にわたり販売していた通信モジュールに使用されていた『Z80』のマイコンが生産中止となったため、マイコンの載せ替えを行ってほしい…」とご要望いただきました。ただし、独自プロトコルの通信ボードである上、当初設計を行った方が退職していたため、解析が非常に難しい状態でした。そのような状況下でしたが、当社にて、様々な手法を検討することにより、現行のボードの解析を行いました・・・

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事例②：オープンネットワーク通信ボード

こちらは、オープンネットワーク通信ボードのリバースエンジニアリング事例です。従来使用していた専用ICが廃盤となったため、リバースエンジニアリング対応が必要でした。そこで、「恒久的に使用できるICに変更した上で、設計を行ってほしい…」とご相談いただきました。

当社にて現物解析を行ったところ、ICの変更に伴い、どうしてもマイコンも併せて変更する必要があることが判明しました。そこで、当社よりHilscher製のICへの切り替えに加え、適切な新規マイコン「ルネサス RX230シリーズ」への変更をご提案しました・・・

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基板・ボードのリバースエンジニアリングならお任せください！

当社では、回路図や基板データが手元に無い場合でも、現物の基板や関連する仕様書を基に、綿密なヒアリングと解析を実施します。これにより、基板の機能や動作を正確に把握した上で、お客様の要望を満たすリバースエンジニアリングを実現します。

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