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組み込み機器とは?その構成とIoT機器との関係について解説!

あらゆるモノがインターネットにつながる「IoT(Internet of Things)」の時代が本格化しています。外出先から家のエアコンを操作したり、工場の機械を遠隔で監視したりと、その技術は私たちの生活やビジネスに深く浸透しつつあります。 今回は、このIoT技術の根幹を支えている「組み込み機器」について解説します。
組み込み機器とは?
組み込み機器とは、特定の機能を実現するために、家電製品や産業機械などの内部に「組み込まれる」コンピュータシステムのことを指します。例えば、炊飯器がボタン一つで最適な炊き加減を実現したり、自動車のエンジンが効率よく動作したりするのは、内部に搭載された組み込み機器が制御しているおかげです。
一般的なパソコンが、ソフトウェアをインストールすることで様々な用途に使える「汎用的なコンピュータ」であるのに対し、組み込み機器は製品の特定の機能を実現することに特化しているのが大きな特徴です。そのため、製品の目的やコストに応じて、必要最小限の性能で設計されることが多くなっています。
組み込み機器の構成
組み込み機器は、大きく分けて「ハードウェア」と「ソフトウェア」の2つの要素から構成されています。これらは、人間でいうところの「体」と「頭脳」のような関係にあり、両者が密接に連携し合うことで初めて機能します。
ハードウェア
機器の物理的な実体です。CPU(マイコン)やメモリ、センサー、モーターといった電子部品や電子回路、それらを搭載する基板、そして全体を収める筐体などが含まれます。
ソフトウェア
ハードウェアを制御するためのプログラムです。ユーザーからの指示を解釈し、ハードウェアに具体的な動作を命令する役割を担います。
このハードウェアとソフトウェアを、製品の目的や要求仕様に合わせて最適に設計・開発していくことが、組み込み機器開発の根幹となります。
組み込みソフトウェアとは?
組み込みソフトウェアとは、組み込み機器のハードウェアを直接制御し、製品に特定の機能や動作を実現させるためのソフトウェアです。一般的に「ファームウェア」と呼ばれることも多く、ハードウェアに非常に近い層で動作するのが特徴です。
このソフトウェアは、パソコンのアプリケーションとは異なり、下記のような厳しい要求に応える必要があります。
リアルタイム性
決められた時間内に処理を完了させる能力。特に、自動車のブレーキ制御や工場のロボットアームなど、遅延が許されないシステムでは極めて重要です。
高い信頼性と安全性
24時間365日の連続稼働や、人命に関わるようなシステムも多いため、誤作動や停止が起こらないよう、非常に高い信頼性が求められます。
効率性
搭載されるハードウェアのメモリやCPU性能には限りがあるため、リソースを効率的に使用するコンパクトな設計が必要です。
開発には、C言語やC++といったプログラミング言語が用いられることが多く、ハードウェアの動作を深く理解した上での設計・実装が不可欠となります。
組み込みハードウェアとは?
組み込みハードウェアは、ソフトウェアが動作するための物理的な基盤であり、製品の性能や信頼性を決定づける重要な要素です。主に、演算処理を行う「マイコン」、プログラムやデータを記憶する「メモリ」、外部との情報のやり取りを行う「入出力(I/O)」、そしてそれらを接続する電子回路や基板、筐体(ケース)から構成されます。
組み込みハードウェアの設計は、多岐にわたる専門知識を必要とします。
回路設計
製品の頭脳となるマイコンを選定し、デジタル回路やアナログ回路を要求仕様に合わせて設計します。部品の生産中止(EOL)に対応するための再設計や、図面のない製品を解析するリバースエンジニアリングも重要な技術です。
基板設計
設計した回路を実装するための電子基板(プリント基板)を設計します。製品の安定動作を妨げるノイズや、部品の故障原因となる熱への対策が極めて重要であり、専門的なシミュレーション技術を駆使して信頼性を確保します。
機構設計
基板や電子部品を保護し、製品として成立させるための筐体を設計します。単に「箱」を作るだけでなく、製品の小型化、屋外設置を想定した防水・防塵性能、振動や衝撃への耐久性、そして放熱効率などを考慮した、緻密な設計が求められます。
これらの設計工程を高いレベルで統合することが、高品質な組み込み機器を生み出す鍵となります。
組み込み機器とIoTについて
近年、「IoT(Internet of Things:モノのインターネット)」という言葉を頻繁に耳にするようになりました。これは、身の回りの様々な「モノ」がインターネットに接続され、相互に情報をやり取りする仕組みのことです。
そして、このIoTの主役となる「モノ」の正体こそが、通信機能を搭載した組み込み機器なのです。
従来の組み込み機器は、その機器単体で動作するのが一般的でした。しかし、インターネットに接続する機能が加わることで、その可能性は飛躍的に広がります。
遠隔監視・制御
外出先からスマートフォンでエアコンを操作したり、工場の管理者が遠隔地から設備の稼働状況を監視したりできます。
データ収集と活用
センサーを搭載した組み込み機器が収集した膨大なデータ(ビッグデータ)をサーバーに送信し、AIなどで分析することで、新たなサービスの創出や業務効率の改善に繋げることができます。
機器のアップデート
インターネット経由でソフトウェアをアップデートし、機能を追加したり、セキュリティを強化したりすることが可能になります。
このように、組み込み機器はIoT技術の根幹を支える重要な存在であり、私たちの暮らしやビジネスをより便利で豊かなものへと進化させています。
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